CA Log
CA Log #27
共創で生まれる新しい未来
1/3
2022.5.26
今回は、2021年度から取り組んでいる弊社とクライアントの共創ストーリーについてお話したいと思います。
共創することの大切さ、素晴らしさ、そして可能性を皆さんに知っていただけたら嬉しい限りです。
1年以上の歳月をかけて立ち上げた新規事業(現在も立ち上げ進行中)のドキュメンタリーのため、3回に分けてお送りしたいと思います。
クライアントの代表と出会ったのは、とあるプロジェクトへの参加で、今から3年前の2019年でした。そこでの私の役割は、地域の事業主を集い、コラボレーションを促し、新しいブランドを立ち上げる、というプロジェクトの企画・運営でした。そのプロジェクトに参画いただいた方が、今回のテーマの主人公です。(以降 M代表)
その後、時代はコロナ禍へ突入。地域の事業者にとっては、一寸先も見えない、絶望的な状況が続きました。M代表の事業は地元でも有名な大型の日帰り温泉施設です。老若男女楽しめる温泉施設として、綺麗で清潔な脱衣所、温泉設備、そして家族風呂。さらには卓球台や縁日風の地元産品の販売ゾーン、マッサージサービスやトレーニングジム、家庭用ゲーム機コーナー、DVDレンタル、レストランとかなり充実していて、お客様の満足度がとても高い施設で有名でした。特に、飲食スペースは充実していて、大広間の宴会場から個室の宴会スペースまで多くの人々で賑わっていました。事業拡大も進み、順風満帆に見えました。しかし、そんな状況がコロナで一転してしまったのです。
そんな中でもM代表は心折れる事無く、従業員達と奮起していました。持ち前の事業センスとアイデア力、実現力、すべてを活かして様々なチャレンジを繰り返しました。時には「お客様が温泉に入りに来られないのなら、温泉をお届けしよう!」そんな思いで温泉をタンクに詰めて自宅へデリバリーするプロジェクトを発足。許可申請をあり得ないスピードでこなし、あっという間に事業として展開。地域のメディアを賑わせたこともありました。
全ては従業員の雇用を守り、安心して暮らせる環境をつくるためでした。
事業は逆風、且つ全く先が見えない時期にM代表の心労は想像することすらできませんが、相当のものであった事は言うまでもありません。
そんなコロナ禍に入った2021年の春にM代表より連絡がありました。
「新規事業を立ち上げるから、サポートしてくれないか。」
話を聞いてみると、どうやら果実を使ったアルコール飲料のブランドを立ち上げるという事でした。しかも、事業再構築補助金にいち早くチャレンジし、事業計画書もほぼ自身で作成し、採択されたから、という話でした。その時の私の感想は「やっぱりM代表は半端ない!」そんな感じです。
そこから、事業計画書をシェアされ、今後の事業展望について目をキラキラさせて語ってくれました。しかも10年20年先の事業計画や、事業計画書には無い新規事業の構想まで。そして最後にM代表はこう言いました。
「今は事業それぞれが点だけど、3年後に線になって繋がり、10年後には全く新しい価値を生み出す事業グループになる。」と。
「だから是非一緒になってサポートして欲しい。」そこには、M代表が思い描く理想の企業像がありました。地域課題の解決やSDGsのことまで、企業の存在意義とは何なのか?自問自答を繰り返して生み出されたアイデアがありました。
私はプロジェクトに参画することを快諾し、後日会いにいくことにしました。
M代表が立ち上げる新規事業は、りんごを使った果実酒でした。フランスではシードル。アメリカではテイストが変わり、ハードサイダーと呼ばれているものです。M代表の地域は日本でも有数のりんごの名産地です。しかも、その名産地の中でも最高品質なりんごが採れる事で有名なエリアでした。また昨今は若年層を中心にアルコール離れが伸長。大手メーカーがRTDというジャンルで低アルコール商品を展開するなど、比較的新しい市場をターゲットとしていました。
ただ手ぶらで会いにいっても仕方が無い、そう思い社内でプロジェクトチームを発足。同市場の分析をオンラインやオフラインでのリサーチを重ね、事業のヒントになりそうなレポートとして持参し、打ち合わせする事にしました。まずは誰よりも市場を理解する、そんなポリシーからです。
初期の段階では、持参したレポートをもとにお互いの考える事業の方向性や考え方、価値意識のすり合わせを徹底して行いました。昼も夜も語り合いました。時には他社で作成した味のサンプルを試飲して「これは美味しくないから絶対に売れない」と厳しいやりとりをした事もありました。味のイメージを共有するために、世界中のシードルやハードサイダーを集めた試飲会も実施しました。そこでようやく共通のイメージができあがりました。
こうやって一歩一歩前に踏み出していったのです。
M代表は今回の新規事業で新しい事業収益を得ることだけを目的としていませんでした。綺麗ごとに聞こえるかも知れませんが、現代に即したパーパスドリブンな事業体を目指していました。地域課題の解決、SDGsへの取り組みをはじめ、地域で他業種と共創し、新しい価値を生み出す次世代企業を目指していました。ブランディングの重要性は誰よりも理解していました。そんな要素も入りながら、ハードサイダーだけでは無い、もっと大きな構想でのブランド開発がスタートした訳です。
市場・競合分析やペルソナの設計を経て、コンセプト開発を進めます。M代表と共通のイメージで繋がり、ブランド名・商品名の開発に着手します。
実は事前にM代表が考案したネーミングありました。その案で進めるつもりで商標登録まで済ませていました。そこまで進んでいては、今さら変える必要は無い、当初はそう考えていました。しかし、M代表と対話をする度に、今後の事業ブランドを想像する度に、考えれば考えるほど小さな違和感が生まれてきました。もっと大きな傘でブランドを名乗る必要があると考えました。
そこで思い切って提案し決定したのが「CRAZY CIDER(クレイジーサイダー)」というブランド名でした。「CRAZY」には「夢中になる、熱中する」という意味合いがあります。M代表のように、地方にいながらもアンテナを高く広く張り、一瞬で物事を理解し、想像し、夢中になって実現できる人はそんなに多くはいないでしょう。「CRAZY」はそんな想いを込めて、M代表の新規事業にぴったりな言葉だと考えました。ブランドを言語化した瞬間でした。
この続きは次回のブログで。
皆さんの周りには、信頼して未来を語り合える仲間はいらっしゃいますか?
忖度なしにディスカッションできて、事業をグロースさせてくれそうなブレーンはいらっしゃいますか?
是非お気軽にご相談ください。